癇癪(かんしゃく)について
癇癪は、幼児の不満や怒りの表出反応として、1歳半頃から3歳頃によく見受けられます。時には9歳頃になっても癇癪を起こす子どももいます。
自分の思い通りにいかないとき、手足をバタバタさせて床にひっくり返って大泣きします。時には親に暴力を振るう子どももいます。
親御さんも本当にどう納めればいいのか、途方に暮れてしまうでしょう。
“かも川親子の療育室”に来られている親御さんから、一番よく相談されることが『癇癪』です。30分くらいで泣き止まず、1時間ぐらい泣き続ける子どももいます。そして虐待通報されてしまったという話も聞きました。
幼い子どもの多くは、自分の怒りや不満をうまく言葉で伝えることができないので、「わかってもらえない」という苦しみも伴って、さらに感情のコントロールが難しくなるのではないかと思います。
癇癪の原因は様々です。
自分がいつも座るバスの席に他の人が座っていた…、一番にエレベーターのボタンを押すつもりだったのに…、おもちゃの電車のレールが上手くつなげない…等々。中にはこんな子どももいます。外食をしたときに自分のイメージ通りの料理の盛り付けではなかった…、あともう少しで蒸しパンの薄紙がきれいに外せるところだったのに、パンがぼろっと落ちてしまった…。自分の“つもり”が外れた時に心が爆発するようです。よく考えると大したことではないことが多いです。
親の方もなんとか泣き止ませようとして必死になります。普段よりも言葉がけも多くなり、その言葉がまた刺激になって、さらに泣き声は大きくなります。
こんな時、家の中ならば、見守りつつもどこか安全な部屋に子どもを置いて、しばらく放置することもよいでしょう。外出先ならば、先ずはその場から子どもを引き離すことです。意外と静かになっていくものです。
ようやく子どもが泣き止んだ時、ここからの親の言動が重要です。
「そんなに泣いたら喉が渇いただろう」などと言って、子どもの好きな飲み物でも出してやってほしいのです。あるいは、ケロッとして普通に遊び始めたりする子どももいるので、その時はいつも通り普通に接してやってください。
ようやく自分を収めた子どもに、「どうしてあんなに泣くのだ」「そんな聞き分けのない子はダメだ」と言って、またフツフツと子どもの怒りを引き出すような言葉は禁物です。長い説教も罰を与えることも、かえって逆効果です。
子どもがなんとか自分の心をリセットしたのだから、親もリセットしなければなりません。むしろ「我慢できるようになったね」と褒めてあげてほしいのです。
「みんなに迷惑をかけたのに褒めるのですか」「諭さなくていいのですか」と親御さんはよく言われます。でも、大したことではないことで泣いていたのだから、諭す必要はないでしょう。
むしろ自己コントロールできるようになってきたことを褒めてやることで、子どもの泣く時間は短くなり、癇癪の回数も減ってくるものです。いきなり癇癪をゼロにすることは難しいことですが、少しずつ子どもに我慢する心が育っていくように、親の方も少し我慢して待ってあげましょう。